台湾・台北に行こうと考えて航空券を検索していたら2つの空港が出てきたという経験はありませんか?台湾に初めて行く人にとっては、台北に2つの空港があるのは少し分かりづらいかもしれません。
この記事では、台北旅行の起点となる台北松山空港と台湾桃園空港の違いを台湾旅行経験28回の私が徹底解説します。
この記事でわかること
– 台北の2つの国際空港がわかる
– 2つの空港に就航するフライトと料金の違いがわかる
– それぞれの空港の比較ポイントがわかる
台北には2つの空港がある
台湾の玄関口として機能している台北には2つの空港があります。
空港名 | 空港コード | 都市名 |
台北松山空港 | TSA | 台北市 |
台湾桃園空港 | TPE | 桃園市 |
これは、東京でいう羽田空港と成田空港の違いのようなものです。上記で台北に2つの空港があると書いていますが、実際には台北市内にあるのは台北松山空港であり、台湾桃園空港は2つ隣の都市である桃園市に位置しています(便宜上台北にあると書いていますが)。羽田も成田も東京の空港と言われているのと近いですね(成田は実際には千葉県ですね)。
2つの空港の位置関係
台北松山空港は台北市内のど真ん中にあり、台北の中心である台北駅や中山駅まで地下鉄(MRT)で20分ほどの距離にあります。
一方で台湾桃園空港は桃園市という2つ隣の都市にあり、台北市内まで1時間ほどかかる場所にあります。
航空券を購入する際には、この2つの空港がどこにあるのかを理解した上で購入しないと、せっかくの台湾旅行で時間ロスにつながってしまいます。
どちらの空港がいいのか
ではどちらの空港が良いのか?という問いに対する答えですが、回答としては「人によるし、さまざまな条件による」というのが答えになります。
2つの空港の位置関係を見れば、台北松山空港の方が台北市内に近く利便性が高そうに見えますが、一般的に台湾桃園空港発着便の方が航空券が安いことが多く、また、格安航空会社(LCC)は台湾桃園空港にのみ就航しているため、選択肢が多いことが特徴です。
空港を選択する際には「価格(預け荷物や座席指定、機内食含む)」と「時間帯や距離、行程や空港設備」を比較して決めていく良いと思います。以下では、私が空港を選択する考え方を順を追ってご紹介します。
空港選択時に見るポイント
航空券と関連する費用を見る
まずは台湾までの航空券の価格を見てみましょう。やっぱりここが検討の出発点。一般的には台北松山空港の方が少し高く、台湾桃園空港は安めに設定されていることが多いです。以下では2つ例にとって紹介します。
1)特定の航空会社で台湾に行きたい場合(JALの例)
例えば特定の航空会社で台湾に行きたいとします(例えば特定の航空会社のマイレージ会員などの場合)。JAL便で2023年10月時点で2024年3月12日片道フライト大人1名を検索してみると以下のようになりました(一部抜粋、価格は往復で検索した際の片道の値段)。
# | 区間 | 時間 | 運賃 |
① | 羽田 – 台北松山 | 8:35 – 11:40 | 41,750円 |
② | 成田 – 台湾桃園 | 18:05 – 21:15 | 38,810円 |
③ | 羽田 – 台北松山 | 18:05 – 21:00 | 41,750円 |
航空券の価格だけを見るのであれば、②が最も安いので台湾桃園空港が良さそうに見えます。①と③なら①のほうが台湾観光は長くできますが、都内に住んでいない場合は8:35のフライト(チェックインは1時間30分前目安)には間に合わないかもしれません。
2)航空会社にこだわらない場合
航空会社にこだわらないのであれば、桃園空港の方が選択肢は多くなります。何よりもLCC(格安航空会社)は桃園のみに就航しているので、価格面では大きなメリットが生まれます。(2024年3月12日で検索、価格は往復で検索した際の片道の値段)。
# | 航空会社 | 区間 | 時間 | 運賃 |
① | スクート | 成田 – 台湾桃園 | 11:45 – 15:10 | 22,610円 |
② | タイガーエア | 羽田 – 台湾桃園 | 5:00 – 7:55 | 17,800円 |
③ | タイガーエア | 成田 – 台湾桃園 | 13:00 – 16:25 | 24,800円 |
④ | ピーチ | 羽田 – 台湾桃園 | 5:50 – 9:00 | 20,090円 |
⑤ | ピーチ | 成田 – 台湾桃園 | 12:40 – 16:05 | 15,480円 |
⑥ | チャイナエアライン | 成田 – 台湾桃園 | 14:35 – 17:40 | 31,010円 |
⑦ | エバー航空 | 羽田 – 台北松山 | 10:25 – 13:25 | 27,245円 |
⑧ | ジェットスター | 成田 – 台湾桃園 | 8:30 – 11:50 | 13,850円 |
航空会社を選ばないのであれば、LCCの安さは圧倒的です。また、LCCはセール時にはかなり値下げすることが多々あるので、そういった機会を狙うのもアリです(そこまで安いとどっちの空港とか考える必要すら無くなりますが)。
ただ、念の為考慮に入れておきたいこととして以下に触れておきたいと思います。
3)航空券以外にかかる費用
台北松山空港と台湾桃園空港では航空券の価格にある程度の差があることがわかったと思います。ただ、気にしなければいけないのは航空券の価格だけではありません。台湾側の台北松山空港と台湾桃園空港では台北市内に出るまでにかかる費用が異なりますし、日本側でも東京であれば羽田と成田では移動にかかる費用や空港の利用料が異なってきます。また、LCCを利用する場合は手荷物・座席指定・機内食は別費用となるので、旅行スタイルによっては結構値段が上がってしまいます。ここをきちんと理解した上で航空券を予約することが大事です。
①日本側の空港までのアクセス・前泊にかかる費用
*首都圏在住ではない方は無視してOK
まず、LCCについては羽田発の場合早朝便になってしまうため、空港周辺に前泊したり空港で寝泊まりする必要が出ます。成田発の方が日中発のフライトが多いので便利ですが、都内からのアクセスを考えると時間もお金もかかります。これをどう考えるか。
項目 | 例(東京駅発) | 運賃 |
羽田空港アクセス費用 | 東京 – (モノレール利用) – 羽田空港第3ターミナル | 659円 |
成田空港アクセス費用 | 東京 – (スカイライナー利用)-成田空港 *在来線を使えばもっと安い(最安1,154円) | 2,724円 |
②発地空港による空港利用料の違い
航空券を購入すると、チケット代金以外に空港諸税などといった項目でまるっと請求されるのであまり意識したことがないかもしれませんが、航空券代(合計)には税金や各種利用料が含まれており、それらは出発する空港によって若干異なります。
項目 | 費用 | 合計 | |
羽田空港発 | 羽田空港利用料 国際観光旅客税 | 2,950円 1,000円 | 3,950円 |
成田空港発 | 成田空港利用料(第1・2ターミナル) (成田空港利用料(第3ターミナル)) 成田空港旅客保安サービス料 国際観光旅客税 | 2,460円 (1,370円) 550円 1,000円 | 4,010円 (2,920円) |
*羽田空港利用料は2022年3月27日以降発券分より340円値上げし2,950円
*成田空港利用料は2023年9月1日より330円値上げし第1・2ターミナルは2,460円、第3ターミナルは1,370円
*成田空港旅客保安サービス料は2023年9月1日より20円値上げし550円
*国際観光旅客税は2019年1月7日から開始しており1,000円
成田空港の中でも第3ターミナルを使用する航空会社の場合は空港利用料が1,000円近く安くなりますね。第3ターミナルはLCC専用ターミナルですが、台湾行きのフライトが出ているのはジェットスターのみ、ピーチやタイガーエアはLCCですが、第1・2ターミナル発なので注意が必要です。
③(台湾側)発地空港による空港利用料の違い
復路について、台湾側では空港による利用料の違いは現状はなく、台北松山・桃園・高雄国際空港発のフライトについて2023年3月31日以降500台湾ドル(上記では2,204円)が旅客サービス施設使用料として請求されます。
④台湾側の空港 – 市内アクセスにかかる費用
桃園空港と松山空港は台北市内(ここでは台北駅とする)までの距離が異なります。ゆえにかかる費用も変わってきます。
# | 区間 | 手段 | 料金 | 時間 |
① | 桃園空港 – 台北駅 | MRT空港線 | NTD150(約675円) | 1時間(乗車時間は45分程度、駅移動が長い) |
② | 松山空港 – 台北駅 | MRT文湖線 – MRT板南線 | NTD25(約113円) | 15分 |
⑤受託手荷物・座席指定・機内食料金にかかる費用
とにかく安く台湾に行きたい、食事もいらないし座席もど真ん中でも良い、荷物が身軽にできるという方はこの項目は無視できますし、そういった項目がオプションになっているLCCがおすすめです。しかし、最低限スーツケースを1つ持っていきたい(少々重さがある)とか、友人と並び席がいいとか(LCCは友人同士でも容赦なくバラバラにさせられること有りw)、そういった方は合計金額をよく計算しておいた方が良いです。
# | 受託手荷物 | 機内持込手荷物 | 座席指定 | 機内食 | 備考 | |
① | 日本航空JAL | 23kg/個が2個まで | ハンドバックなど1個と小さなスーツケース類1個まで、合計10kg以下 | 無料 | 無料 | ステータス会員であればさらに多くの受託手荷物可 |
② | チャイナエアライン | 23kg/個が1個まで(高い航空券種別では2個まで可) | ハンドバックなど1個と小さなスーツケース類1個(7kg以下) | 有料(高い航空券種別では無料) | 無料 | ステータス会員であればさらに多くの受託手荷物可 |
③ | タイガーエア | 有料 | ハンドバックなど1個と小さなスーツケース類1個まで、合計10kg以下 | 有料 | 有料 | 運賃タイプによって無料の場合があるが、安く行く場合は基本的にすべて付いていないと思って良い |
④ | ピーチ | 有料 (シンプルピーチの場合は1,950円〜2,490円/個で20kgまで) | ハンドバックなど1個と小さなスーツケース類1個まで、合計7kg以下 | 有料 (シンプルピーチの場合は790円〜1730円) | 有料 | 運賃タイプによって無料の場合があるが、安く行く場合は基本的にすべて付いていないと思って良い |
⑤ | ジェットスター | 有料 (32kg/個を上限として合計40kgまで) | ハンドバックなど1個と小さなスーツケース類1個まで、合計7kg以下 | 有料 | 有料 | 運賃タイプによって無料の場合があるが、安く行く場合は基本的にすべて付いていないと思って良い |
⑥その他手数料
システム使用料(タイガーエア)や支払い手数料(ピーチ)など、各社追加の手数料を上乗せしてくるので、決済時には注意が必要です。
各都市への利便性を考える
桃園空港と松山空港は、日本の成田空港と羽田空港のように距離が離れた別物だと考えた方が良いです。台北市内の中心である台北駅までの時間を考えても大きな差があります。
# | 区間 | 手段 | 時間 |
① | 桃園空港 – 台北駅 | MRT空港線 | 1時間(乗車時間は45分程度、駅移動が長い) |
② | 松山空港 – 台北駅 | MRT文湖線 – MRT板南線 | 15分 |
往復で考えるとこれの倍ですから、観光計画にも大きく影響していきます。そういった意味では往復で1時間30分の差を航空券代金の差で比較したときに、どちらの空港を選ぶべきか考えてみてもいいかもしれません。
上記は台北市内を観光する際のお話ですが、もし台湾中部や南部(台中や台南・高雄)への旅行を考えているのであれば、桃園空港の方が近いのでおすすめではあります。
空港内の設備が違う
これは一部の旅行好きの人にしか関係のない話ですが、海外の航空ラウンジやプライオリティパスラウンジを利用したい場合、桃園空港の方が圧倒的にラウンジがあります。とくに、プライオリティパスが使えるラウンジは松山空港にはないので、こういう観点からもどちらの空港を選択するか検討すると良いでしょう。
台北松山空港には共同の航空会社ラウンジであるAirlines VIP Loungeしかありません。
一方で桃園空港は一例として以下のようなラウンジがあり、充実していることは一目瞭然です。