台湾旅行をする方の多くは台北市内や高雄市内を走る地下鉄を利用すると思いますが、郊外に行くのであれば台湾鉄道を利用することになります。台湾鉄道は通称台鐵(台鉄、日本語読み:タイティエ)と呼ばれ、日本のJRと同じように街中から山の中、海沿いを走るなど、台湾の風光明媚な景色を堪能できる重要な観光素材でもあります。
台湾本島中を走る台湾鉄道の中でも最も美しい駅と言われるのが台東にある「多良駅」。海スレスレを走る台湾鉄道と太平洋の青い海とのコラボレーションが、雑誌やポスターなどでたびたび紹介されています。
この多良駅は観光地として有名ですが、アクセスの難易度が高いことでも知られています。私は当時下調べをあまりせず、危うく3時間歩く羽目になるところでした。
この記事で「多良駅」の魅力と行き方・アクセスを理解してから行くことを強くお勧めします!
多良駅とは
多良駅(日本語読み:ドゥオリャン、中国語読み:duō liáng)は、台湾の東海岸に位置する台東(日本語読み:タイドン、中国語読み:tái dōng)にかつてあった駅。
2006年7月以降旅客サービスは終了しており、全列車が通過します。駅は太平洋を背にする形で海岸線ギリギリに設計されており、普通列車・特急列車問わず全速力で通過していく姿と青く輝く太平洋のコラボが、台湾で最も美しい駅と呼ばれる所以です。
現在は使用されていない駅なので、電車で直接多良駅に行くことができないということになりますよね。これが、多良駅へのアクセスを難しくしている理由です。ここを訪れる観光客の多くは団体客で、大型バスが何台も近くに停まっているのですが、個人旅行客はなんとかしてここに行く方法を考えなければなりません。
では実際にどのようにして多良駅に行くのか、アクセス方法を見て行きましょう。
多良駅へのアクセス
まずは多良駅の場所を確認しましょう。台東の海沿いにある多良駅は、台北からはもちろん、高雄からも離れた場所にあります。
この多良駅へのアクセスを理解するには、台東の海岸沿いの街と交通を理解する必要があります。台東県は縦に長い県で、中心となる台東駅や台東バスターミナル(台東轉運站)はちょうど中央あたりに位置しています。つまり、下記マップは台東県の下半分です。
さて、列車が停車しないかつての駅「多良」にどこからアクセスすれば良いか想像がつきますか?多良には基本的に路線バスでしか行けず、近くの台湾鉄道の駅まで電車で行き、そこから路線バスに乗車することとなります。
どの台湾鉄道の駅から路線バスに乗れば良いかというと、台東〜大武間のどの駅からでも路線バスが出ており、基本的には多良へと行くことができます。
これは、この区間を走る路線バス(上の地図でグレーで書いている線と黒い細い線を通る)は原則台東轉運站(台東バスターミナル)〜安朔(日本語読み:アンシュオ、拼音:ān shuò)または安朔國小(日本語読み:アンシュオ グオシャオ、拼音:ān shuò guó xiǎo)間を走行しており、台湾鉄道の台東〜大武駅間と路線バスは原則並走しているからです。
ただ、駅によっては鉄道駅とバス停が結構離れていたりするのに加え、普通列車しか止まらない駅もああり、台北や高雄方面から特急列車で来る場合は乗り換えの手間があるので、それぞれの特徴を理解してアクセスを考えると良いです。
台東駅から行く場合
台湾鉄道台東駅を起点に多良まで行く方法を考えます。
台東駅から行くメリット
– 台北方面から特急電車(自強号、太魯閣号、普悠瑪号)で行ける
– 街が大きいので安心、食事をしたり、バスの待ち時間を潰せる
– 多良含む南方面へ向かう多くのバスの始発駅
台東駅から行くデメリット
– 台東轉運站(バスターミナル)が台湾鉄道台東駅からバスで25分と結構遠い
台湾鉄道台東駅は台北方面から来る特急列車の多くの終点駅です。ここから路線バスに乗り換えて行けばいいのですが、ここで台東の特殊な事情がデメリットとなります。それは台湾鉄道台東駅は街から離れた場所にあり、多良含む南方面へと向かうバスは遠く離れた台東轉運站(台東バスターミナル)からの出発となっていること。このバスターミナルは昔の台湾鉄道台東駅の駅舎を使ったもので、そのため、台東の街もこちらを中心に設計されています。
バスターミナルは高速バスなども停まる大きなものですが、ここに行くために台湾鉄道台東駅から路線バスで25分かけて移動しなければなりません。バスの本数は結構多いので心配要りませんが。
台東轉運站(台東バスターミナル)からは安朔方面(南方面)へと向かうバスに乗車しましょう。下記のどのバスに乗っても多良までの道のりに違いはありません。時刻表を見て合いそうなものに乗車しましょう。
バス番号 | 運行区間 | 所要時間 | 値段 |
8132 | 台東轉運站 – 安朔國小 | 1時間20分〜1時間50分 | NTD140 |
8135 | 台東轉運站 – 安朔 | 1時間20分〜1時間50分 | NTD140 |
8136 | 台東轉運站 – 安朔 | 1時間20分〜1時間50分 | NTD140 |
8137 | 台東轉運站 – 尚武 | 1時間20分〜1時間50分 | NTD140 |
台東は縦にとても長い県で、バス乗車は1時間30分前後の長旅になります。自分がどこにいるのか見失わないようにGoogle MapなどでGPSの位置を追いかけるようにしておきましょう(特に中国語の車内放送が聞き取れない方は)。
バスは1時間に1本程度の運行です。多良は小さすぎで時刻表に記載されていませんが、金崙と大溪の間だと思ってください。金崙溫泉と壢坵は金崙は内陸に入っていく路線。内陸に向かう8138バスには乗らないようにしましょう。
台東バス時刻表サイトはこちら
バス路線図はこちらです。すごく荒くて見づらいですが、多良の位置関係がわかります。
台東バス路線図はこちら
知本駅から行く場合
知本温泉で有名な台湾鉄道知本駅は多くの特急列車が停車する駅であり便利そうに見えますが、最寄りのバス停「崎仔頭」まで徒歩30分もかかる距離です。そのため、あまりお勧めしません。
太麻里駅から行く場合
台湾鉄道太麻里駅を起点に多良まで行く方法を考えます。
太麻里駅から行くメリット
– 花蓮・台東始発、高雄方面からの特急電車(自強号、太魯閣号、普悠瑪号)の一部が停車
– バス停が比較的近い
– 青い太平洋が駅前に見える(台湾で有名な風景の1つ)
太麻里駅から行くデメリット
– 街が小さいので時間を潰せない場合がある&不安
– バスの始発ではないので来ない時に不安になる
太麻里駅は台東駅さらに南に進んだ先にある駅で、海沿い近くに街が形成されています。太麻里駅は駅前に広がる太平洋の絶景が有名な駅で、これを見るためだけに太麻里駅を訪問する方がいるほど。
太麻里駅から一番近いバス停は「大王國中」。徒歩8分の距離です。
太麻里というバス停もありますが、さらに歩いた先にあり、台湾鉄道太麻里駅からは徒歩16分です。乗車するバスは台東轉運站で乗るバスと同じ。
バス番号 | 運行区間 | 所要時間 | 値段 |
8132 | 台東轉運站 – 安朔國小 | 30分 | NTD90 |
8135 | 台東轉運站 – 安朔 | 30分 | NTD90 |
8136 | 台東轉運站 – 安朔 | 30分 | NTD90 |
8137 | 台東轉運站 – 尚武 | 30分 | NTD90 |
下記時刻表の太麻里の時刻よりもちょっと前ぐらいが大王國中の到着時刻です。
台東バス時刻表サイトはこちら
金崙駅から行く場合
台湾鉄道金崙駅を起点に多良まで行く方法を考えます。
金崙駅から行くメリット
– 花蓮・台東始発、高雄方面からの特急電車(自強号、太魯閣号、普悠瑪号)の一部が停車
– バス停が比較的近い
– 多良から一番近い台湾鉄道の駅
金崙駅から行くデメリット
– 街が小さいので時間を潰せない場合がある&不安
– バスの始発ではないので来ない時に不安になる
金崙(日本語読み:ジンルゥェン、拼音:jīn lún)は多良駅の北側で一番近い台湾鉄道の駅。台湾で不安になりがちな路線バスの乗車時間を短くできます。金崙は決して大きな駅ではありませんが、近くにある金崙温泉の影響か多くの特急列車が停車します。
逆にいうと、普通列車(區間車)は1日に3本しか走っていません。台東は想像以上に田舎ですので旅行は計画的に。
最新の台湾鉄道時刻表はこちら↓
台湾鉄道金崙駅から近くのバス停である金崙までは徒歩5分です。
金崙から多良方面へ向かうバスも台東や太麻里から乗るバスと全く同じです。一応金崙始発で安朔行のバス8158番がありますが、早朝に2本しかないので無視していいと思います。
バス番号 | 運行区間 | 所要時間 | 値段 |
8132 | 台東轉運站 – 安朔國小 | 10分 | NTD30 |
8135 | 台東轉運站 – 安朔 | 10分 | NTD30 |
8136 | 台東轉運站 – 安朔 | 10分 | NTD30 |
8137 | 台東轉運站 – 尚武 | 10分 | NTD30 |
台東バス時刻表サイトはこちら
瀧溪駅から行く場合
多良に南側から行く方法は2つあり、台湾鉄道の瀧溪駅または大武駅から路線バスに乗ることになります。瀧溪(日本語読み:ロンシー、拼音:lóng xī)は多良に南側で一番近い駅ですが、利用はお勧めしません。
1日に発着する電車の数が極端に少ないためです。街の大きさもこれまで以上に小さくなり、コンビニもありません。
最新の台湾鉄道の時刻表はこちら↓
瀧溪駅に近いバス停は大溪です。名前が異なるので注意。
こちらも他の駅同様のバスが走っています。
バス番号 | 運行区間 | 所要時間 | 値段 |
8132 | 安朔國小 – 台東轉運站 | 14分 | NTD30 |
8135 | 安朔 – 台東轉運站 | 14分 | NTD30 |
8136 | 安朔 – 台東轉運站 | 14分 | NTD30 |
8137 | 尚武 – 台東轉運站 | 14分 | NTD30 |
台東バス時刻表サイトはこちら
大武駅から行く場合
台湾鉄道大武駅を起点に多良まで行く方法を考えます。
大武駅から行くメリット
– 高雄方面からの特急電車(自強号、太魯閣号、普悠瑪号)の一部が停車
– バスの始発である安朔からすぐなのでそこまで時間が遅れることはない
大武駅から行くデメリット
– バス停が比較的遠い
大武駅(日本語読み:ダーウー、拼音:dà wǔ)は台東県で一番南に位置する駅で、高雄や屏東方面から台湾鉄道南廻りで来る場合、山間部の長いトンネルを抜けて最初に到着する駅です。
多良の南側にある駅は大武駅と瀧溪駅しかないのですが、瀧溪駅はあまりお勧めできない駅なので、南廻りで来る方は大武駅を利用するようにしましょう。
台湾鉄道大武駅は山側に位置しており、バス停および街までは徒歩14分の距離です。
こちらも同様のバスが走っています。
バス番号 | 運行区間 | 所要時間 | 値段 |
8132 | 安朔國小 – 台東轉運站 | 44分 | NTD71 |
8135 | 安朔 – 台東轉運站 | 44分 | NTD71 |
8136 | 安朔 – 台東轉運站 | 44分 | NTD71 |
8137 | 尚武 – 台東轉運站 | 44分 | NTD71 |
台東バス時刻表サイトはこちら
多良バス停から多良駅への行き方
多良バス停に到着したら、すぐ横の坂道をひたすら登って行きます。台湾鉄道の線路は高架化され、かなり上の方を走行しています。
この坂道は部落住民の車両しか侵入できない道なため、観光バスだけでなく、小型バンやタクシーも全てこの坂道の下で停めることになります。
しばらく登ると、台湾鉄道の高架をくぐります。
Uターンしてさらに進むと台湾鉄道の線路と同じ高さまで到着し、目の前に多良駅の入り口が現れます。
現在多良駅の旧駅舎の屋根の上が展望台として開かれており、そこから目の前の線路を通過する電車を見ることができます。