オーストラリアに観光で訪問する際にはETAS(イータス)という電子渡航認証を事前に取得する必要があります。よくビザ(査証とも言う)の取得とごっちゃになっている人がいますがこれは別物です。
この記事では、観光でオーストラリアを訪問する際に必要な手続きの概要と申請方法、必要なお金について解説します。ワーキングホリデーとして働きにオーストラリアに行くような場合は別の手続きが必要なのでご注意ください。
この記事でわかること
– 観光でオーストラリアを訪問する時に必要なETASが何かがわかる
– ETASの申請方法がわかる
– ETASの申請料金がわかる
※この記事は申請に関する実際の体験情報をまとめたページです。最新の申請内容やルールは必ず公式サイトを確認して手続きを進めてください。
お隣のニュージーランドと併せて旅行する方も多いと思います。ニュージーランドは別でNZeTAと取得が必要です(泣)。申請手順はこちら↓
ETASとは何か
ETAS(読み:イータス)とは、オーストラリアへ渡航する際に必要な電子渡航認証のことです。Electric Travel Authority Systemの略で、Sを省略してETAと書かれることもあります。日本国籍の人が観光または短期商用(細かい条件あり)の目的でオーストラリアに入国を希望する場合はオンラインでETAS申請手続きが可能です。
ETASはビザの代わり
ETASの話をする前にビザの話をしたいと思います。海外旅行に行く際にパスポートは必須ですが、ビザは聞き馴染みがない方も居るかもしれません。特に観光目的でのビザが不要な国が多い東南アジアやヨーロッパ方面へしか旅行したことがない方にとって、ビザが何なのか不明な方もいるかと思います。
なので、パスポートだけ持っていても渡航先の国は入国を許してくれているわけではないのです。国によっては特別なにか(=ビザ)を申請しなくても現地空港の入国審査でパスポートを提示さえすれば入国できるのですが(ビザが免除されている)、世界にはそうではない国があります。また、観光目的であればビザ無しで入国できても、目的が変わればビザが必要になったりします(例:就労目的)。
ただ、観光目的の場合、多くの国は一定の条件下で観光ビザを免除しています(ビザ免除プログラム、Visa Waiver Programなどと呼ばれる)。オーストラリアでは日本をはじめ数十カ国に対して実質的に観光目的でのビザ発行を免除としています。
免除プログラム対象外の人は、Visitor Visa (Subclass600)で観光ビザを取得する必要があり、AUD190以上の費用が必要になるようです。基本的にビザは目的に関係なく申請にはかなり時間と費用を要するものと言われています。
話を戻すと、日本国パスポート保持者であれば上記Visitor Visaは不要(免除される)ですが、代わりに簡素化されたETASと呼ばれる電子渡航認証を事前に取得する必要があります。忘れるとそもそも飛行機に乗れない場合があるとも言われているので、早めに申請するようにしましょう。
ETASの簡単まとめ
– 日本国パスポートを持っている人はVisitor Visaの代わりに取得が必要
– ETASが無いと入国どころか飛行機にも乗れない可能性がある
– 1度に3ヶ月まで滞在可、発行から1年間使用可、72時間前までに申請
– 申請費用はAUD20
観光での入国だけでなく、トランジットでも必要?
オーストラリアではトランジットも入国として見なされ、原則ビザが必要となります。ただし、特定の条件下ではビザ不要の無査証入国が可能となります。これはTravellers eligible to transit without a visa (TWOV)と呼ばれており、以下の条件を満たす場合に無査証入国が可能です。日本はこの無査証入国対象国となっています。詳しくはこちら
英文 | 和訳 |
will arrive in Australia by aircraft | 飛行機でオーストラリアに到着する |
have a confirmed ticket to leave Australia to travel to a third country, by aircraft within 8 hours of arriving | 到着後8時間以内に第三国へ向かう有効な航空券を持っている |
have a valid travel document to enter the country of destination | 目的地入国に必要な有効な書類を持ち合わせている |
must not need to clear immigration or leave the airport transit lounge for any reason before boarding your onwards flight. If you need to clear immigration, for example to collect baggage or to board an onwards flight, you will need an Australian visa. This includes people from eligible countries who meet all other criteria. For more information, see Transit facilities at Australian airports. | 次のフライトの前に入国審査を通過したり、トランジットラウンジを離れてはならない。 受託手荷物受け取りや搭乗手続きのために入国審査を通過する場合はビザが必要となる。 |
ETASの申請方法
ETASの申請方法は2023年12月現在専用アプリからのみとなっています。*WEBサイトは閉鎖中
申請時に必要なもの
– 有効なパスポート(家族やグループ旅行の場合は一括申請可能)
– 写真撮影に適した格好と場所(アプリ内で自身を撮影します)
– 有効なクレジットカード(JCB、VISA、Mastercard、AMEX)
– メールアドレス
- STEP1専用アプリダウンロードページを開きダウンロードする
Apple StoreまたはGoogle Play Storeからそれぞれ専用アプリをダウンロードします。それぞれのStoreで直接「ETAS」と検索しても見つかります。
*在日オーストラリア大使館WEBサイトにもETASの専用アプリのリンクが記載されています。 - STEP2アプリを開き導入文を読む
アプリを起動すると、ETA(S)に関する説明と、「Terms and Conditions」(利用規約)が表示されるので「Agree」(同意)を選択して先に進みます。
- STEP3アプリにパスワードを設定する
アプリ内にパスポートや個人情報を保存するため、アプリ自体にパスワード(6桁)を設定するように求められます。FaceIDと紐づけることも可能なようです。
- STEP4旅行業者または個人かを回答する
Are you a travel agent?(あなたは旅行業者ですか)と聞かれるので、個人で手続きしている方はNoと回答しましょう。
- STEP5新しいETA(S)を登録する
アプリの最下部にApplicants(申請者)という項目があり、そこから「+New ETA」を選択します。利用規約を確認し「Agree」(同意)を選択して先に進みます。
*一番下までスクロールしないとボタンは押せません。 - STEP6パスポート情報をスキャンする
スマホアプリでパスポートの写真ページをスキャンします。Apple Storeのレビューでも散々書かれていますが、これがなかなか読み込みません。そもそも読み込んでくれないのに、読み込んだ後も「Failed to Capture Passport Information」(パスポート情報の取得に失敗)とエラーが出ることが何度もあり、苦戦します。
説明文に書いてあることとしては、
– ケースやカバーを外し、パスポートの写真ページを開き平らな場所へ置く。
– 指がかからないようにし、ギラツキや反射、影が出ないようにする。
– ページ全体(下部の2行の文字列含む)がフレーム(赤い)に収まるようにする。*成功するとフレーム(緑)になるが、上部にさらに指示が出ることがある
です。
「Scan Passport」(パスポートをスキャンする)をタップし、パスポート読み込み画面へ進みます。赤枠に収まるようにパスポートを配置します。OKの場合は緑色に枠が変わります。(ただ、緑色になるのはパスポートの位置関係検知のみのようで、反射や影に関するエラーは引き続き画面上部に表示されます)
読み取り完了したら、次はパスポートのICチップをスマホで読み取ります。新しめのスマホであれば基本的に読み取れると思いますが、古い端末ではもしかしたら読み取れないかもしれません。スマホをパスポートの表か裏とくっ付けるとICチップを認識しますが、もし認識しない場合は円を描くようにゆっくりとスマホをパスポート上で動かしてください。ICチップの読み込みが終わるまではスマホはパスポートとくっ付けたままにしてください。
ICチップを読み込んだ後でも、なぜか「Failed to Capture Passport Information」(パスポート情報の取得に失敗)とエラーが出ることが何度かありました。この場合はパスポートスキャンからやり直しとなります(かなりストレス)。
スキャンとICチップ読み込みの両方が成功すると、読み込んだ内容を確認するページが表示されます。ここでは手動で修正はできません。万が一読み込みが間違っている場合は再度スキャンからやり直して読み込みが直ることを期待するしかありません。
項目 意味 Nationality 国籍 Family Name 苗字 Given Name 下の名前 Date of birth 生年月日 Sex 性別(男性はM、女性はF) Passport number パスポート番号 Date of issue パスポート発行日 Date of expiry パスポート有効期限 Country of issue 発行国 OKであれば画面下部の「Confirm」(確認)をタップします。
- STEP7顔写真を撮影する
次に、申請者の顔写真を撮影します。これも結構やり直しが多い項目なんですが、まず最初に説明していることの概要としては、
– 申請者本人の撮影であること
– 申請者はETA申請に記載された人であり、実際に旅行する人であること
– 質の良い、Passportのスタイルに近い写真であること
– 申請者の目の高さで撮ること
– 無地の背景で明かりが多いところで目を開けること
– 円の中に顔を配置すること。うまく配置できると自動で撮影する
*なお撮影が成功した場合はやり直しはできません。この赤い円の中に顔をはめ込むんですが、、、これって円か?という疑問も。私は5回ほどやり直しさせられました。
- STEP8補足情報を入れる
「Is the applicant a dual citizen?」(申請者は二重国籍ですか?)に対して、二重国籍で2つのパスポートを保持しているときは「Add another passport」(パスポートを追加する)から追加手続きを行います。
「Check for existing visas, including ETAs」(既存のビザやETAを確認する)では、現在すでに取得済みのビザやETAを確認することができます。
多くの方はこの2つの項目は特に手続きをせずに先に進むだけで良いと思います。 - STEP9個人情報入力
いくつかの追加個人情報を入力していきます。
英文 和訳 Country of birth 出生国 Has the applicant ever been known
by any other name?申請者は以前別の名前を使用していましたか?
Yesの場合は、氏名、性別と理由を選択する。理由は
「Marriage(結婚)、Deed poll(改名手続き)、
Full spelling(スペル違い)、Other(その他)」
があり、Otherの場合は理由を記入するAddress 自宅の住所を英語で入力 Mobile number 携帯番号を入力。日本は+81 Email メールアドレス - STEP10質問に対する回答
ETAを申請するにあたり、幾つかの質問に正確に回答する必要があります。
英文 和訳 Select ETA type
Business/TouristETAの種別を選択してください
ビジネス/旅行Are you the applicant? 申請者本人ですか? I declare that the applicant is outside Australia
and currently located in ” “.私(申請者)はオーストラリア国外におり、
現在” ”に居ること誓います。
*” “部分は選択式As an applicant, I understand that if my visa ceases
to be in effect and I do not hold another visa to remain
in Australia at that time, I will be an unlawful non-citizen
under the Migration Act 1958. As such, I will be expected
to depart from Australia and be subjected to removal
under the Migration Act 1958.
By ticking this box I confirm that I understand this declaration.申請者として、私はビザが執行し、その時点で滞在するための
別のビザを保持していない場合、移民法1958に基づき
不法な非国民となることを理解しています。移民法1958に基づき
強制退去となることが予想されます。
このチェックボックスにチェックを入れることで、
この宣言を理解したことを確認します。Criminal convictions
Has the applicant ever had a criminal conviction?有罪判決
申請者はこれまでに有罪判決を受けたことがありますか?Domestic violence
Has the applicant ever been charged or convicted of a family
or domestic violence offence or any similar related offence?家庭内暴力
申請者はこれまでに、家族暴力、家庭内暴力、または同様の関連犯罪で
起訴または有罪判決を受けたことがありますか?Has the applicant ever been the sublect of a domestic or family
violence order, or any other orde, of a tribunal or court or other
similar authority, for the personal protection of another person?申請者は、これまでに、他人の個人保護を目的として、家庭内暴力
または家族内暴力命令、あるいは法廷、裁判所、またはその他の
同様の当局によるその他の命令の対象となったことがありますか? - STEP11オーストラリアでの住所登録
Intended address(予定の住居)=ホテルでOKを記載します。I Know the addressを選択し、英語で住所、電話番号を入力、Contact/business nameはホテル名で良いと思います。
ここまでで必要な情報入力は完了です。 - STEP12支払い
ここからはETASの支払い手続きになります。STEP11までで申請者情報が登録され、以下のような画面になっていると思います。もし、家族分も一緒に申請したい場合は、画面下の「Add another application」(申請者を追加)から、上記ステップを家族分行います。
上記で申請者が全員であれば、NEXTをタップします。
- STEP13クレジットカード情報を入力する
支払いはクレジットカード(AMEX、マスターカード、VISA、JCB)またはApple Payから可能です。
- STEP14申請完了
支払いが完了すると以下の画面が表示され、申請受付完了(Application(s) received)となります。72時間以内にETA付与のPDFが登録Email宛に送られます。
申請が通り、ETAが正しく付与された場合は、PDFにApplication Status: Granted(申請結果:付与)と記載されています。72時間以内とのことでしたが、私はなんと1分後に受領しました。個人差はあると思います。
※この記事は申請に関する実際の体験情報をまとめたページです。最新の申請内容やルールは必ず公式サイトを確認して手続きを進めてください。