シンガポールを旅行していると日本以上に計画され整備された街の様子が目に入ってきます。特に、全ての道に名前がついているという点は、日本人にとっては驚くところでないでしょうか。
面白いことに、シンガポールで使われる道の名前にはたくさんの呼び方があり、かつそれらは短縮された形で表示されるので、馴染みのない日本人にとってはどういう意味なのか想像できないものもたくさんあります。また、読み方がわからないと、タクシーの運転手に行き先を正確に言えないという問題も起こります。
この記事では、シンガポールで使われる数多ある道の略称とその意味を解説します。
シンガポールで使われる道の名称の短縮形の例
シンガポールにある全ての道には名前がついています。そして、それぞれに道の種類があり、道の名前の最後にその種類を表す単語がつきます。例えばリバーバレーロード(River Valley Road)はリバーバレーという名前の道で、道の種類はRoadです。地図や看板ではRdと略されます。Rdを見ればロードと想像がつく方は多いはずです。
ではDunearn Clは何と読むのでしょうか。そもそもClを何と読むのか不明ですよね。シーエルではありませんよ。これはCloseの略でなので、Dunearn Clはデュナーン クローズと読むことになります。
こんな感じで簡単に想像がつく短縮形の道の名前から、全く想像がつかないようなものまで、シンガポールにはたくさんの道の名前があります。
代表的な道の名前の短縮形一覧
それでは、シンガポールで見られる代表的な道の短縮形について、以下にまとめていきます。
英語が元になった道の略語
略語 | 正式名 | 例 |
Rd | Road | Keng Chin Rd |
St | Street | Palmer St |
Ave | Avenue | Goldhill Ave |
Blvd | Boulevard | Orchard Blvd |
Ln | Lane | Aroozoo Lane |
Dr | Drive | Draycott Dr |
Cres | Cresent | Paya Lebar Cres |
PI | Place | Boon Lay Place |
Cir | Circle | Conway Circle/Pavillion Circle |
CI | Close | Dunearn Cl |
Hwy | Highway | Nicoll Hwy |
Jct | Junction | Kallang Jct |
Sq | Square | Fullerton Square |
Rd、St、Ave、Blvdは一般的に道の名前としてよく知られた英単語なので、なんとなく想像がつく方は多いと思いますが、それ以降の略語は想像すらつかないものも結構あります。
LnはLaneの略で、細くて行き止まり(cul-de-sac)になっている道によく使われています。メイン通りから一つ入って住宅街に入るような道に多いイメージです。
CresはCresent(クレッシェント)意味。三日月型のような弧を描く道に使われます。例えば以下のPaya Lebar CresはUpper Paya Lebar Rdから始まりJln Lokamまで弧を描くような道の作りとなっています。
PlはPlaceの略。道の名称でPlaceは想像もつかないですね。Boon Lay Placeのような例がありますが、原則としてPlは行き止まりの道に使われるそうです。が、Boon Lay Placeは行き止まりではなく、結構例外があるようです。
CirはCircleのこと。基本的には円を描くような道の作りになっている場合に付けられます。Conway Cirなんかがそうです。
マレー語が元になった道の略語
シンガポールの歴史は1965年のマレーシアからの独立に始まります。現在もマレー語が公用語の1つであることからもわかるように、シンガポールのさまざまなところにマレー語が使われており、シンガポールで使用される英語にはマレー語からの派生語もたくさんあります。
略語 | 正式名 | 例 |
Lor | Lorong | Lor Ong Lye |
Jln | Jalan | Jln Kelichap |
Bt | Bukit | Bt Timah Rd |
Kg | Kampong | Kg Sireh |
Tg | Tanjong | Tg Penjuru(Tanjong Penjuru) |
この中でもLorとJlnはシンガポールでは本当にたくさん見かけます。Lorong(ロロン)は英語でいうAlleyやLaneのことで小道が近いしいでしょうか。JlnはJalan(ジャラン)の意味で道という意味。シンガポールに住むと簡単なマレー語を同僚から教えてもらえたりするんですが、Jalan Jalanは超よく聞く言葉ですね。意味は「散歩」。
日本のホテル予約サイト「じゃらん」もここから来ていると言われています。
Lor Ong Lyeのようにマレー語で道の名前が作られる場合は先頭に来るんですよね。〇〇 Rdのような英語の作りとは反対です。
そしてOngなんていうのもシンガポールらしいところ。Ongは王または黄さんのことだと思います。シンガポールの道には昔の人の名前がよく使われるんです。
Ong=王または黄というのは、中国語をかじったことがある方には不自然に感じると思います。王=Wang、黄=Huangですからね。Ongは福建語(ホッケン)での名前なので中国語学習者にもわからないのです。
Btは丘(Hill)、Kgは村(Village)、Tgは岬(Cape)の意味ですが、使われるのはスペースが限られた道路標識ぐらい。Google Mapなどでは原則省略されずに記載されます。
その他の道の名称に使われる略語
ここまでは道の種類を決める単語の略語を紹介してきました。ここからは、道の種類を決める単語ではありませんが、道の名前に含まれることがある略語を紹介します。
略語 | 正式名 | 例 |
Bldg | Building | |
Blk | Block | |
Stn | Station | Opp Botanic Gdns Stn |
Ctrl | Central | Hougang CTRL |
Ind | Industrial | |
Upp | Upper | Upp Paya Lebar Rd |
Opp | Opposite | Opp Botanic Gdns Stn |
Int | Interchange | |
Sch | School | |
Gdns | Gardens | Opp Botanic Gdns Stn |
Ch | Church | Opp Bethany Presby Ch |
Twrs | Towers | City Twrs |
Ct | Court | Supreme Ct Ln |
BldgでBuilding、StnでStationなど想像がつくでしょうか?欧米ではStationはStaと略すこともあるので、この辺は想像するしかないですね。上に記載したのは街中でよく見る略語なので覚えて損はないですが、ChやCtはほとんど見ないと思います。結構特殊。